楽曲評のはじめ
ハロヲタ(ベリヲタ)として知られる漫画家の種村有菜さんがハローの楽曲からインスピレーションを受けて漫画を描くことがあると言うことをご存知ですか?
種村さんの代表作は『神風怪盗ジャンヌ』だと思いますが、その時代から今までずっと少女漫画界の第一線で活躍されているお方で、日本の女子たちは彼女の作品から多大なる影響を受けながら育ってきています。
種村さんの作品は、少女漫画をピンクのベールで包んで、リボンで結わって、さらにその上に砂糖を振りかけたような甘い恋愛漫画です。
元々種村さんの漫画はもちろん知ってました。しかし、Berryz工房の『Berryz工房 スッペシャル ベストvol.1』を聞いてから種村さんの漫画を読むと「こういうことか!」と妙に納得してしまったんです。
ハローのファンの方に分かりやすく言うと種村さんの漫画は「蝉」とか「さぼり」のような曲を聞いたときと似たような感覚を味わえるんです。
「さぼり」とかも、塾が一緒の男の子と家に帰る、ただそれだけなのに!!!
無言が続くけど
このままのまんまでいいの
夜風につつまれて
あなたとわたしだけ
おうちに帰ったら
「サボった」の きっとばれるな・・・
たこ焼きとソースと
初恋のにおいで
これは「さぼり」の一文ですが、本当にこの一曲を聞いただけで切なくなりますよね。
本当に初恋の追体験のような感じなのです。
学生同士の恋だからこその親の存在、幸福の真ん中にいる女の子。
つんくさんと種村作品の共通点を考えてみました。それは、
・独特の言い回し
・想像をかきたてる余白の存在
・少女の妄想爆発感
・ヒロイン感
・細かい観察眼による緻密なエピソード
などですかね。
とにかくつんくさんは作曲だけじゃなく、作詞も素晴らしいのです。
ということを伝えたくて、楽曲評をはじめたいと思います。
しかし、つんくさんはリズム命の方なので、音合わせや韻を踏むために独特な言葉遣いになっていることが多く、正しい文法の美しい表現かというと、そうではないところもあります。
私も、小学生の時に「ザ☆ピ~ス」をきいて、変な歌詞だし言ってることめちゃくちゃだし意味分かんない!と、生意気にも思っていました。友達とノリノリで歌ってたのにね。
でも、大人になってモーニング娘。と再会して、改めて聴いてみるとすんなりと曲そのものを受け入れている自分が居ました。成長して、正しいものしか受け入れられない頑なさが少しはなくなったのでしょうか。結局は受け手の姿勢次第なのかもしれません。
常日頃、私は小説や本を読むときに気に入った文章に印をつけたり書き留めたりする習慣があるのですが、それにはある基準があったことに気が付いて、
一、美しい文章
一、心に残る文章
一、哲学的、思想的に惹かれた文章
一、憧れの美意識を表す文章
このいずれかが多いみたいです。
つまり、歌詞を読みとる時、私には性に合わないわなんて自分の一つの基準で簡単に拒否しないで。もしかしたら、ハロー楽曲の歌詞が迷っている自分を助けてくれるかもよ、つんく哲学にハマるかもしれないよ。
一見だけで拒否するなんてもったいないと思うのです。
「TIKI BUN」がミュージックステーションで歌われた時なんて、「寝不足は寝るしかない」って何!?っていうつっこみツイートが多数。
私が考えるに、「あー○時間しか寝てねーわ」なんて愚痴言ってても寝不足は解消されないよ、みたいな……感じかと思ったけどもっと深い意味ありそう・・・。
そもそも、つんくさんの歌詞は分かりにくいものが多いんですよ。
裏の裏にまでメッセージが隠されていたりね。
以下は、つんくさんの「GOOD BYE 夏男」(松浦亜弥)Twitter談義です。
夏男聴くたび思うんですけど、なんで門限わざと早い時間教えるんですか?
という質問に対してつんくさんは、
22時がリアルの門限だけど20時って言っておけば、その男がつまらん奴やったら20時で帰る理由が出来るし、気に入ったら「今日は門限やぶる」って言うと彼うれしいでしょ。
さらに、
でも、この歌詞で言いたかったのは、「門限は早い目に伝えてあるから強引にでも私を口説いて伸ばしてみなさい」って意味です。
女子か!!!!!
「門限はわざと早い時間教えるものよ」
という一文の中にこんなメッセージが…。
私は男の子と一緒にいるとつい時間を忘れてしまうから門限を早めに教えて門限どおりに帰ろうとするいい子ちゃんなのかと思ってたよ!!
私は合っていませんでしたが、つまり想像力を必要とする歌ばかりなのです。
今のヒットチャートを賑わす歌って、想像力を必要としない分かりやすい歌詞ばかりじゃないですか。
でも分かりにくいものに触れることってすごく大切なことだと思うんです。
宮崎駿さんも映画『風立ちぬ』を作った時に、子供が簡単には分からないものに触れることも大切だ、という言葉に納得したとか。
ということで、楽曲評というテーマで、楽曲をきいて感じたり考えたことや、関連の楽曲の紹介、一緒に読むとより楽曲の世界が広がる本の紹介を考えています。
とはいっても、気軽にいろいろと実験していきたいと思います。
興味のある方はのぞいていただけると嬉しいです。